アカデミックセッション/as2a

アカデミックセッション

ゲノムとエピゲノム:次世代シーケンサーが測る新しい地平
座長: 渡辺 亮 (京都大学iPS細胞研究所CiRAゲノム・エピゲノム解析コアファシリティ・特定拠点助教)
小田 真由美 (慶応義塾大学医学部坂口記念システム医学講座・Tenure Track助教)
ID AS2a 日時 9/5(木) 10:50-12:20 会場 A
概要 本セッションでは、高速シーケンサーを使って展開する新しいバイオロジーについてディスカッションします。堀田さんにはiPS細胞を用いた遺伝子治療の展望を語っていただき、高速シーケンサーを使った応用も紹介していただきます。三浦さんからは「超高感度」DNAメチル化解析法を紹介していただき、これまで見えなかったエピゲノム制御を明らかにする夢と現実を語っていただきます。蓑田さんからは高速シーケンサーを使って貢献した大型プロジェクトでの体験についてお話しいただきます。トークと質疑だけではない新しいスタイルのインタラクティブな進行を行う予定ですので、是非ご参加ください!
  • 「あなたの知らない?あなたのゲノム!なりすましに注意」
    冨田 秀太 (近畿大学医学部ゲノム生物学教室・講師)
  • ヒトゲノムのドラフト配列が解読されてから10 年が経ち、様々な疾患・病態・表現型に関するゲノムの異常・変異が報告され、その一部は診断・治療へ応用されるに至っている。そんな中、第二のゲノムとしての細菌叢(マイクロバイオーム)が注目されている。というのも我々の体には、細胞数にしてヒト細胞の 10倍もの微生物が住み着いており、健康と病気の両方に関与している事が明らかとなってきている。肥満もニキビも心配性も、あなたの知らない?第二のゲノムの『 10倍返し』なのか?謎解きはランチョンの前に!
  • 「ヒトiPS細胞におけるゲノム編集技術を用いた遺伝子異常修復」
    堀田 秋津 (京都大学iPS細胞研究所・初期化機構研究部門・特定拠点助教)
  • TALENやCRISPR/Cas9といった革新的な新規人工ヌクレアーゼの登場により、ゲノム上の狙った領域を任意の配列に書き換えるゲノム 編集が、様々な生物種で可能となってきた。当然、ヒトの先天性遺伝子異常を修復する遺伝子治療への応用も期待されているが、効率的な変異修復の方 法論や、ターゲット領域以外に予期せぬ変異が起こるリスクについては、未だ不明な点が多い。
  • そこで我々は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者由来のヒトiPS細胞をモデル系として、様々な変異修復手法の検討を行った。我々が切断パ ターンの解析に用いているNGS技術を紹介すると共に、ヒト細胞での効率的なゲノム編集技術についても紹介したい。
  • 「PBATによる高感度なターゲットメチロームシークエンスHighly sensitive target methylome sequencing with PBAT」
    三浦 史仁 (東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻・特任助教)
  • 全ゲノムバイサルファイトシークエンシング(WGBS)は1塩基解像度と高い定量性から今やメチローム解析の標準的手法になりつつあるが、その配列決定コストの高さは多サンプルを対象とした比較メチローム解析の障害となっている。この問題の解決には、狙ったゲノム領域を濃縮したうえでバイサルファイトシークエンシングを行うターゲットメチロームシークエンシング(TMS)が有効であるが、従来のTMSのプロトコールはいずれも鋳型調製効率に改善の余地があった。我々はこれまでに高効率なWGBS用の鋳型調製プロトコールであるPost-bisulfite adaptor tagging (PBAT)法を開発してきた。今回我々はPBATを用いてTMSの鋳型調製効率を従来法の30倍以上に高感度化することに成功したので報告する。
  • Chromatin Statesとは何か。ENCODEと modENCODE、クロマチングループの解析
    蓑田 亜希子 (理化学研究所 ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門・ユニットリーダー)
  • modENCODE(ENCODEの姉妹プロジェクト)のクロマチングループの一員としてショウジョウバエのヒストン修飾を主に、クロマチンChromain IP (ChIP)-chipとChIP-seqを行った。75個以上のマークを3種の培養細胞と4つの発生段階(合計610 ChIP-chip/seq datasets)でマッピングした。ヒストン修飾18個を元に、ショウジョウバエでは9つのChromatin Statesがあると判明した。これはエピゲノムを大ざっぱに見ると、9つのエピゲノムのパターンがあるということだ。ヒトと線虫とショウジョウバエのChromatin Statesを比較した結果、転写活性がある遺伝子のエピゲノムのパターンは似ているが、ない領域には違いが見られた。今回は海外での大規模なコンソーシアムの研究経験も紹介したい。